今回、沼津タウンユースは沼津人の愛しているものということで、「のっぽパン」をクローズアップしました。

 より沼津人にのっぽパンを愛していただくために、まずのっぽパンの歴史を調べ、皆さんに身近に感じていただきたいと思い、のっぽパンの開発にかかわった人のインタビューを企画しました。

 そこで第一弾として、のっぽパンが開発された当時に沼津ベーカリー(現在の劾BS。以後、NBに省略)に在籍され、のっぽパンの顔というべきキャラクターの「きりん」の生みの親で、現在でも梱包のデザインで携わってらっしゃる三宅 優氏(泣Tンディオス 取締役社長)にお話をうかがいました。

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飯田 はじめまして、沼津タウンユースの飯田です。(自己紹介略)
三宅 ようこそいらっしゃいました。NBSの長谷川さん(劾BS 商品企画室スタッフ)から、タウンユースで「のっぽパン」を取り上げてくれるという話を聞いています。二人で「ありがたいね。」と話していたのですよ。
飯田 ありがとうございます。ではさっそくですが、のっぽパンの誕生秘話を聞かせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
三宅 わかりました。のっぽが生まれたのは、27年前で、私がNBに入社して3年目だったと思います。NBは当時、あんことかクリームをいろんな業者から納入していました。その中である新商品のクリームが持ち込まれました。それが口の中でさっと溶けてしまう、とてもさっぱりした甘味のクリームでした。また、その時にこのクリームに合うパンということで、フランスパンのようなパンが開発され、のっぽが誕生したと私は記憶しています。
飯田 最初の印象はどうでした?
三宅 定例の新商品開発会議の場で出てきたのですが、まずパンの長さに驚きました。こんなパンは、当時ありませんでしたから。そこでこのパンの見た目のイメージから名前を決めました。候補は2つあがりまして、1つは今の名前「のっぽ」、もう1つは「スリムくん」でした。
飯田 へぇー、「すりむくん」なんて候補があったんですね。ちなみに「のっぽくん」はきりんですが、「スリムくん」のイメージキャラクターは何だったのですか?
三宅 僕は映画が好きで、「のっぽ物語」(1960年)というバスケットボールを題材とした映画に主演したアンソニー・パーキンスさんが頭に思い浮かびました。そこで、彼をイメージキャラクターにしました。
しかし、キャラクターなら人間より動物だろうということになり、「のっぽ」になりました。
飯田 キャラクターのきりんは、現在は上半身だけですが、昔から上半身だけだったのですか?
三宅 あっ!そういえば、最初は下半身があったなぁ。全身のイラストを書いていたかも知れません。確かボツになって、上半身だけになりました。
飯田 発売当初の「のっぽ」は、どういった反響だったんですか?
三宅 それは、すごく爆発的なヒットでしたよ。なにしろ通常のヒット商品の10倍以上の売上でしたからね。
飯田 それはすごいですね。
三宅 そうなんですよ。毎日注文に製造が追いつかない状況が続いたように記憶しています。それで、のっぽ専用の製造ラインができたのです。その頃は、近くのスーパーでお母さんが「のっぽ」を3本から5本まとめて買っていくのをよく見かけました。家に持って帰って子供のおやつにするんでしょうね。子供の口にも入るちょうどいいサイズですから。
飯田 私もまだ小さかったころ、家に帰って「のっぽ」を食べた思い出があります。
そういえば、「のっぽ」の味は開発当初と変わっているのでしょうか?
三宅 私の感覚では変わってないと思います。
飯田 そうなんですか。ちなみに、三宅さんがNBに在籍していたころは、ほかの味の「のっぽ」は出ていなかったのですか?
三宅 ありました。確か「チョコのっぽ」が最初だったかな。便乗効果でこの商品も結構出荷されたのですが、それでも「のっぽ」の引立て役という程度でした。普通の「のっぽ」のパワーにはとてもかなわなかったと思います。
飯田 2年前ぐらいに、K-MIXとのコラボレーションで、「夏みかんのっぽ」が製造され、ヒットしたと聞きましたが、こういった商品はどう思われますか?
三宅 新商品が出ることは、大賛成です。「のっぽ」も進化しなければなりませんから。
飯田 新商品に付き、色々な種類の「のっぽ」をデザインしていくわけですが、どこか「のっぽ」でこだわっている部分はありますか。
三宅 「のっぽ」の文字と眼の表情はこだわっています。「のっぽ」のなんともいえない色っぽい眼、これは特に気にしていますね。
飯田 私が「のっぽ」についていろいろ調べた中で、「のっぽ」はいつも左を向いているのですが、右を向いているのが1個あったような気がしたのですが。
三宅 それはないです(笑)。全部同じ向きですよ。しかし、それは面白いですね。
今度考えて見ます。そういえば、幻の一品っていうのがあるんですよ。
飯田 何ですか、それは!
三宅 きりんじゃない「のっぽ」です。
飯田 えー、そんなのでてたんですか!
三宅 今まで20種類ぐらいの「のっぽ」が出ていると思いますが、唯一この「のっぽ」だけ、きりんじゃないんですよ。あぁ、これこれ、この「黒糖のっぽ」。

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飯田 ほんとだー!きりんじゃない!これはのっぽまにあには、たまらない一品ですね。
三宅 これが「のっぽ」の変遷です。今までに、ストライプをつけたり、値段をはずしたり、3・4回マイナーチェンジしています。これが一番最初だったと思いますが、レアですよ。

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おっ、「のっぽ」の最初の原画が出てきた。

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飯田 これはすごい。額に入れて飾りたいですよ。もう私は、熱狂的な「のっぽ」ファンになってますから、個人的に欲しいですね。(笑)
三宅 あとは、ボツになった「のっぽ」企画で、「ぽけっとのっぽ」というのがありました。授業中におなかがすいたら食べれるように、小さい「のっぽ」を企画したのですが、さすがにボツになりました。(笑)
飯田 デザイナーとして、「のっぽ」をデザインする上で心がけている点はありますか?
三宅 それは、デザインの面白さを持たすように心がけています。遊び心を持ってデザインするんですよ。
飯田 デザインにどのくらい時間をかけていますか?
三宅 それは、まちまちです。こういった業界ですから、第一印象でその「のっぽ」のデザインが決まります。早いやつはすぐにでも描けてしまいます。
飯田 ちなみに、一番悩んだ「のっぽ」のデザインってなんですか?
三宅 それはこの「黒糖のっぽ」ですよ。イメージがあまりにも湧かなくて、とうとうきりんじゃなくなってしまいましたから。この「黒糖のっぽ」は3ヶ月で中止になってしまいました。やっぱり、きりんじゃなかったからですかねぇ。
飯田 じゃあ、ほんとにこの「黒糖のっぽ」はレアなんですね。悩むといえば、今販売されている「のっぽ」で、チョコ味が2種類ありますね。「チョコフレーク入りのっぽ」「ベルギーチョコのっぽ」をデザインする上では大変だったのではないですか?
三宅 そうですね。大変ですよね。でも、私は最近若い子に「のっぽ」をデザインさせているんですよ。彼らが頑張っていますよ。そうそう、食品には使いにくい色があるんですよ。知っていますか?
飯田 いいえ、知らないです。どんな色なんですか?
三宅 寒色系の色です。この一覧を見れば分かると思いますが、「のっぽ」がオレンジであるように、食品は新鮮さと温かさを表現するために、暖色系を使うことが多いんですよ。唯一、「牛乳のっぽ」が青色で、「メロンのっぽ」もかろうじて中間色のみどりにしています。

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飯田 なるほどですね。一番多くの種類が出たのはいつごろで、何種類ですか?
三宅 この写真のころが一番種類が出て、確か3・4年前ぐらいで、普通の「のっぽ」も含めて8種類でした。
飯田 三宅さんはどの「のっぽ」が好きですか?
三宅 やっぱり普通の「のっぽ」が一番です。あえていうなら、「夏みかんのっぽ」がおいしかったです。
飯田 最後に「のっぽ」ファンに一言お願いします。
三宅 「のっぽ」はNBSの大ヒット商品で、飽きのこない味ということで、市場にマッチしていると思います。これからも多くの人に、特にこれから若い世代に愛してもらいたいです。
飯田 今日は本当にありがとうございました。


「のっぽ」について楽しそうに話す三宅さんの「のっぽ」に対する思いに触れ、私もさらに「のっぽ」が好きになり、とても身近に感じることができました。